『自分探し』が流行るわけ(汝自身を知れ) 2021/10/22(金)

今日は、自分の姿を知る、ということと、幸福との関係について話をしました。

幸せになりたいなら、自分の姿を知らなければならない、と、よく言われますが、なぜなのか、わかっている人がどれほどあるでしょうか。

仏教では、苦しみの原因は、死んだらどうなるかわからない心、無明の闇である、と教えられています。

なぜなのか、ということを、以下の4段階に分けて理解するとわかりやすいです。

(1)人間は未来を考えて生きている

人間とは『考える葦である』とパスカルは言いました。

人間は動物に比べていろんな面で劣っています。

オリンピックでいくら100メートルを、9秒台で走っても、ジャングルとヒョウやチーターにはかないません。かなり鈍足です。

水泳でいくら早く泳ぐ選手でも、マグロやカジキに比べれば遅いものです。

目がよく見える、といっても、空を飛んでいるワシやトンビにはかないません。

お相撲さんがいくら力もちだといっても、ゴリラやゾウなどにはとても勝ち目はありません。

自然界では人間は弱い葦のようなものですが、考えることができます。

では何を考えることができるから、人間は優れているのか、

それは『未来』です。先のことを考えることができるのが、人間の唯一にして最大の特権なのです。

(2)未来と現在との関係

ではどうして人間は未来を考えるのか?

幸せになりたいからです。

今の気持ちよさだけを追求するのが人間ではありません。

逆に今しか考えていない人を、刹那主義、とか快楽主義、と言います。

今、少々我慢しても、未来に楽しいことがあると喜べます。

今が楽しくても、未来に苦しいことがあると、憂鬱になります。

1週間後に大きな手術がある、となると、今から心配です。

逆に、1週間後に楽しい旅行に行けるとなると、今試験で苦しくても、心は明るくなります。

だから、人間が幸せになるには、未来を明るくしなければなりません。

一生懸命仕事をするのも、老後に備えて年金を蓄えるのも、投資をしてお金を増やすのも、みんな未来のためです。

(3)100%の未来は?

しかし、結婚する、とか、就職する、または老後、という未来は、100%起こる未来ではありません。

その前に死んでしまえば、結婚せずに終わる人もあれば、老後を迎えない人もあります。

もし、老後を迎えずに死んでしまえば、老後のためにやってきた努力は苦労はみんな無駄になります。

私たちは無駄になる苦労はしたくありませんね。

もちろん、老後はあるかもしれないので、全く無駄ではありませんが、では、100%確実な未来は何か?

結論を急ぎましょう。

それは『必ず死ぬ』という未来です。

そして死んだらどうなるのか、誰もはっきりしている人がありません。

これが、死んだらどうなるか、わからない心の病、と言われます。

この病を治して、未来永遠の幸せになることが、人生の目的である、と仏教では教えられています。

(4)未来を知るには?

未来を知るには、現在を知らなければなりません。

『未来の結果を知りたければ、現在の原因を見よ』(因果経・お釈迦様のお言葉)

です。

『汝自身を知れ』
『敵を知り、己を知れば100戦して危うからず』(孫氏の兵法)

と昔から言われている真実ですね。

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